映画70本観た(2022)

まえがき

映画を「趣味」と言うようになってきた。
ただ趣味を訊かれて読書とか映画とか言うのは相手への拒絶になりかねないので
すかさず「映画館で50本くらい観てて」と添えると発展しやすい。
最近良かった映画を訊かれて『ミナリ』を答えて
「家が燃えると嬉しいんですよ」と言ったら発展せずに終わるなどもある。

観たもの

新旧混合観た順

No. TITLE
1 西鶴一代女
2 裏窓
3 真夜中乙女戦争
4 さがす
5 地球外少年少女 前編「地球外からの使者」
6 フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
7 地球外少年少女 後編「はじまりの物語」
8 劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS
9 事故物件 恐い間取り
10 グッバイ、ドン・グリーズ!
11 鹿の王 ユナと約束の旅
12 映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021
13 ブルーサーマル
14 ナイトメア・アリー
15 映画 えんとつ町のプペル
16 TITANE チタン
17 クルーガー 絶滅危惧種
18 アネット
19 劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』[前編] 君の列車は生存戦略
20 ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(吹替版)
21 死刑にいたる病
22 バブル
23 シン・ウルトラマン
24 乱れる
25 犬王
26 ニューオーダー
27 FLEE フリー
28 トップガン
29 映画 それいけ!アンパンマン 勇気の花がひらくとき
30 メタモルフォーゼの縁側
31 哭悲/THE SADNESS
32 ベイビー・ブローカー
33 整形水
34 劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』[後編] 僕は君を愛してる
35 トップガン マーヴェリック
36 劇場版『GのレコンギスタⅠ』「行け!コア・ファイター」
37 劇場版『Gのレコンギスタ II』「ベルリ 撃進」
38 劇場版『Gのレコンギスタ III』「宇宙からの遺産」
39 劇場版『Gのレコンギスタ IV』「激闘に叫ぶ愛」
40 神々の山嶺
41 ブラック・フォン
42 女神の継承
43 劇場版『Gのレコンギスタ V』「死線を越えて
44 ONE PIECE FILM RED
45 NOPE/ノープ
46 地下室のヘンな穴
47 ボイリング・ポイント/沸騰
48 夏へのトンネル、さよならの出口
49 雨を告げる漂流団地
50 ゲット・アウト
51 LOVE LIFE
52 カルト
53 僕が愛したすべての君へ
54 君を愛したひとりの僕へ
55 劇場版『四畳半タイムマシンブルース』
56 千夜、一夜
57 百合の雨音
58 映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ
59 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ
60 夜を越える旅
61 カメの甲羅はあばら骨
62 こちらあみ子
63 ぼくらのよあけ
64 すずめの戸締まり
65 ミセス・ハリス、パリへ行く
66 THE FIRST SLAM DUNK
67 ザ・メニュー
68 RRR
69 ギレルモ・デル・トロピノッキオ
70 かがみの孤城

 

うち新作54本、旧作16本

アニメは70本中33本
基本的にアニメ映画は全部観たい気持ちはあるけど
YouTubeばっか観てアニメ観れてないので続きモノは諦める傾向があって悲しいね。

 

新作良かった5選

新作の定義は「リバイバルを除く今年映画館で観た映画」
感想はネタバレを含みます。
今年は映画を観た感想を6割くらいメモしていて偉い。

  • さがす
    うおー名作…。
    片山監督のこと調べたらポン・ジュノ作品の影響を~って話が出てきて脚本や雰囲気作りを思い返してかなり納得できた。
    序盤で受け手が考えることがちゃんとミスリードになってて偉くて、
    真相を明かすために3ヶ月前、13ヶ月前と時間が戻るんだけど、
    各時間軸で印象に残る出来事・風景・服装・カットなどがあるのでかなり整然と頭に入ってくるのが技術!って感じだね。
    あと一番印象的なのはやっぱりラストの長尺定点の会話シーンで、
    ひらすら卓球のラリーをしながら会話が続き、ラリーの緊張感が会話の緊張とリンクして、全部知ってることがわかった瞬間にピンポン玉が落ちるんですよね。
    ピンポン玉が床に落ちるシーンは母親が死んだときも象徴的に描かれていて、ピンポン玉自体が何かの象徴になっていたというのは、
    その後ラリーを再開したときにピンポン玉が映ってないことからハッと気付かされるんですよ。

  • 女神の継承
    めちゃくちゃ満足度の高いホラー映画観た…。
    何も情報入れずに観に行ったらまずモキュメンタリーなことに驚いて、
    でもしっかりモキュメンタリーの演出が光ってたし
    「ドキュメンタリー撮影者が襲われてカメラが地面に転がったまま事態が進む」をしっかり決められちゃったな。
    悪魔憑きモノとして『エクソシスト』などを正統進化させた不気味さや絶望感があって、
    最近だと『来る』を彷彿させるワクワク感やスピード感もあった。
    儀式数日前からの監視カメラが良くて、ちょうど画面に飽きてたところに変化があると嬉しい。
    締め方も良くて、妹に女神はもとからいなかったのか、姉に降りてきたのは本物か、本物ならほかの僧たちをなんで殺したのか、
    みたいに女神や精霊の解釈をある程度観衆に投げかけるのも良かったと思う。

  • 千夜、一夜
    いい邦画、こういう湿度と退廃がある。
    初めは「拉致」とかの単語が出てくるので政治的なメッセージあるのかと身構えたけど、
    実はこの「拉致」の部分は不条理に人が消えるという結果をもたらす可能性のひとつでしかなくて、
    終始主人公の意地や寂しさやエゴや狂い方を周りの反応を通して描くということに一貫してて本当に良かった。
    蒸発した夫を30年待っている主人公に対して、同年代の周りの人がやいやい言うのは想像し得るけど、
    同様に夫が蒸発して2年待った若い奥さんを対比として持ってくるのが上手くて、
    そこでさらに若い夫が見つかることで主人公がエゴで行動してそれを奥さんが指摘して…のドラマに見応えがある。
    主人公は自分がエゴで行動していること、狂っていることに自覚的なのにどこかその自分を俯瞰していて、
    それが30年も待っていた狂いに説得力を持たせるんですよね。
    さらにその狂いが明らかになるのが終盤の虚空との会話シーンで、
    2年蒸発した男が自分のしたこと愚かさに気づくことが異常さの説明になっててこんな観衆の感情グラグラ揺さぶるヤバシーンあるんだ。
    そして最後に主人公は「このままでいい」と言いながら浜辺を駆けるんですよね。かっこいいな。
    あと全編通して役者の芝居が上手

  • THE FIRST SLAM DUNK
    スラムダンク知識は実家に置いてた原作を2周くらい読んだ程度で、
    それも10年以上前だから適度に忘れてた状態で観に行って、まさかスポ根で泣くと思わなかったな。
    宮城リョータを主人公に据えるのにまずびっくりしたけど山王戦の攻防と回想を織り交ぜることでやりたいことが伝わってくる。
    というか3Dのグラフィックスがちゃんと良いのと、まるで実写のバスケのようなスピード感で展開するのに
    誰が何をやってどう思ってるのかがテンポを崩さずに伝わるのがかなりテクニカルだった。
    試合のカット割りも回想の挿入タイミングもきちんとしてて、EDクレジットで原作・監督・脚本 井上雄彦の文字が出てくると拍手しちゃうね。
    仲村宗悟演じる宮城リョータも良かったけど木村昴桜木花道がかなり良くて、
    一番場をかき乱す桜木なので一番芝居に目が行くんだけど2022年にスラムダンクをリメイクするなら確かにこの芝居だなという納得さえあった。
  • RRR
    5選にこれ入れるのはちょっと逆張り精神が邪魔をするんだけど
    これを入れないほうが明らかにダサいなと判断するくらい凄い映画だったな。
    インド映画は今まで食わず嫌いで、
    というのは3時間近くあるのと、皆でダンスするノリだけがフィーチャーされた感想しか観測できてなかったのがある。
    でも人から勧められちゃって、勧められたので↑の理由で断るのダサいなという感覚もあるので観に行ったらすげー良かった。
    誤魔化しの無い王道のストーリーだし都合のいい展開もあるんだけど
    ビームとラーマの大義と使命と友情を前にしたら全部が些末なことで、
    それらを壮大な音楽と豪快な演出とインドのスケール感で描かれれば参りましたって言うしかないんですよ。

新作嬉しかった5選

嬉しかったの定義は「人に勧めるときには挙げないけど個人的にかなり盛り上がった」「全体としてはいまいちだけど部分的に光る箇所があった」など。
感想はネタバレを含みます。

  • アネット
    なんかすごい映画だったな…。
    公式サイトに「ダークファンタジー・ロック・オペラ」って書いてあって何?と思って見に行って、
    ダークファンタジーかどうかはわからんがミュージカル映画としてエポックなのはわかる…。
    序盤の主人公の舞台の様子が楽しくてグッと掴まれたあとに
    どんどん関係も展開も息苦しくなって、そういう意味で最後に人を殺すことで「行くところまで行った」と思うので積み重ねが上手な気がする。
    主人公とその妻の子供である「アネット」は意図的に人形として映っていて、
    劇中ではずっと人間として扱われているアネットちゃんは観衆から見ると明らかに人形なんですよ。
    それは明示的にアネット自身は感情を出さず機械的/役割的な存在として劇中にいることの表現になってて、
    少しそれは過剰な説明な気がするものの挑戦的な画面が続くので結果的に引き込まれちゃった。

  • ニューオーダー
    視聴後感ヤバ!
    物語が進むごとにどんどん救われない感じになって最後に善人が絞首刑になって終わる。ダンサー・イン・ザ・ダークかよ。
    デモと対比するように序盤の結婚式での豪華で豊かな感じが引き立ってて、
    悪いほう悪いほうに展開が進むから、首を吊られたあとに暗転してスタッフロールになったらフーっと大きなため息が出て、
    それが劇場のあちこちでこだましていたのがこの映画の象徴だったな

  • ボイリング・ポイント/沸騰
    5枠に限定してるからこっちに入れたけど全然良かった5選のほうでもいいな。
    まず舞台が店内で完結してるのが良い。演劇的だ。
    カメラも1台を長回しして店内をグルグル回って、フォーカスする対象がホールの店員やバーテンやシェフやオーナーとくるくる変わっていって、人物描写が成立してるから映画が上手だね。
    タイトルからじわじわ店員らのストレスや鬱憤が溜まっていって最後に爆発する感じかなと思ったら、始まった時点でもう85℃くらいまで温まってて胃がキリキリしちゃうね。
    評論家や昔の恩師との絡みも全部最後に沸騰させるための種火でしかないので、救急車が来たのが沸点かな~と見てたらストレスで酒とクスリをガンガン摂取して死ぬのは力技!って笑っちゃった。

  • 夜を越える旅
    邦画観てて嬉しい瞬間来た…。
    ほんとになんとなく観たい映画無いかなと上映スケジュール眺めてるときにふとタイトルが目に入って、
    あらすじ読んでも「夢を諦めきれない社会人と大学時代の人間関係!」くらいしか情報無くて、
    普段なら特に食指が動かないはずなのになんとなく惹かれて観に行くとまさかの隠れホラーで、
    しかもホラーの演出がきちんと怖くてかなり良かった。
    ポスターやメインビジュアルはホラーに見えないこともないけどおそらく意図的にホラーであることを隠してて、
    そういうサプライズを正面から食らってかなり気持ちよくなっちゃった。
    序盤の人間関係のかったるい感じもホラー展開以降はさっぱりしてたのも好印象で、
    若くてチャラい霊能力者カップルも良いしプロの霊能力者があっさり死ぬのもすげえ良い
    ヘタな邦ホラーなら車の中で夜を越えたあと霊退治でもうひとくだりあって120分とかだろうなというとこを切り上げて90分にできるのも偉いな。
    「死者に取り憑かれること」を物理的な意味で描くことで心理的な意味を示してそれとの向き合い方を掴むことが「夜を越えること」なんですよね。

  • ザ・メニュー
    面白映画だね~
    狂ったシェフが孤島のレストランに招いた金持ちに対して狂ったコース料理を出す映画んだんだけど、
    コースの第2品でパン(パンなし)が出てきた時点でかなり楽しめるモードになって、
    次は何が出てくるのかなをボーボボワールド的な気持ちでワクワクできた。
    落ち目の役者がなぜ自分が殺されるのか尋ねたら「たまの休日に観に行った映画がつまらなかった」でその主演だったから殺されるとのことで、
    じゃあ連れの女は?と尋ねると大学が奨学ローンじゃなかったからなの一番笑っちゃった。
    結局ほかのスタッフがなんで一緒に心中できるのかとかよく分かんない箇所はいっぱいあるけど、
    全体の整合はさておいてもやりたいこと全部やれてる映画だったな

 

Vの人の同時視聴

同時視聴、純粋な映画視聴体験と比べると不純粋で不徳な行為という引け目も5%くらいある。
でも映画視聴とV視聴の2円が重なるところなのでお得な感じが拭えない。
本当に観たい映画は同時視聴は避けようと思うけど本当に観たい映画なんて無くない?

 

 

  • 映画 えんとつ町のプペル

    www.youtube.com

    プペル観るならこのタイミングしか無いなと思って観たけど
    児童向けとして結構ちゃんとしてたな。
    作中の比喩に作者の文脈を乗せなければいける、みたいな結論になってた気がする

 

 

 

  • 整形水

    映画館で観ようと思ったら公開期間終わってて残念だった記憶があったので
    そういう理由があると一時的なメンバー登録などをよくやる

 

  • ゲット・アウト

    www.youtube.com

    同時視聴ではなくて、『NOPE』面白かったなというときに夕陽リリさんも同じように観た感想を語っていて、
    ジョーダン・ピール監督の過去作は見たことあって…といった発言があったので知らないの悔しいなと思って観た。
    最後の警察が来るシーンをどうするかって絶対葛藤あっただろうなと思ってググったらちゃんといろんな経緯があった。

 

  • カルト

    live.nicovideo.jp

    白石晃士作品もちょっと食わず嫌いなところがあって、
    というのはニコニコ動画の人たちがニコニコ動画のノリで盛り上がってることに起因するんだけど、
    なのでこういう機会でしか観ないので良かった。
    ていうかこんなところで終わるんだ…。

 

  • 映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ

    すみっコぐらしの映画は特段興味は無いけど
    えるさんの同時視聴は観たいじゃん…。

むすび

今年も観る量や頻度はちょうどよかった。
月に1回くらい、土日に行動する気力がわかずに観たい映画はあるのに適当に自分に言い訳して観に行かない週があり、
このときは映画を観ずとも鬱々と悲しい気持ちになるのでお得だね。