映画96本観た(2023)
まえがき
「実話をもとに描かれた」と言われるとなんとなく観る気が失せることに気づいた。
せっかく映画を作るのに実話の枠を超えられないというか、フィクションに対して縛りプレイをしている気がして、実話をもとにしていない作品よりも劣っている印象をどうしても受けちゃってるんだと思う。
実話をもとに描かれてても実際観れば大体は面白いというのも知ってるし、モキュメンタリーなどその宣言が嘘の場合があることも知ってる。
だから実話をもとにしてることは最後に明かしてほしいなと思う。
観たもの
新旧混合観た順
うち新作63本、旧作33本
アニメは96本中26本
昨年に比べて本数は増えたけど旧作の本数も増えてる。
コワすぎの履修やガルパン映画の回収でかさ増しされてる。
新作良かった5選
新作の定義は「リバイバルを除く今年映画館で観た映画」
感想はネタバレを含みます。
今年はそんなに感想をメモしてない。
- 映画ドラえもん のび太と空の理想郷
ここ数年の劇場版ドラえもんで一番良かった気がする。
最近のドラえもん映画は序盤に散りばめた要素を終盤どれだけ回収できるかのゲームになってるんだけど、その例に漏れずのび太の鼻に付いた虫、天気雨、四次元ゴミ袋など分かりやすい伏線が回収されるインスタントな気持ちよさがまずある。
でもそれだけじゃなくて演出にぐっと来た場面が多くて、特にのび太たちの洗脳が解けるシーンがベタながらめちゃくちゃ画面が良かった。
あと終盤ののび太たちのタケコプターをソーニャが撃ち落とすシーン。協力しようとするのび太たちを振り切って自分だけを犠牲にしようとする葛藤と覚悟が銃声でかっちり引き締まってかなり緊張感のある画作りになってた。
全体の物語としても確かにユートピアを謳う場所がディストピアじゃなかったことないよな~という納得もあった。 - パリタクシー
めちゃくちゃ印象的だったのが最終盤でお婆ちゃんが死ぬシーンで、死が直接描写されるわけじゃなくて、お婆ちゃんがベッドに入って照明を消して画面が暗転することでその暗転が死を意味することが表現されててすごい。
そこに悲壮感や陰鬱さは無くて、でも本人は死を悟ってそうな芝居をしてて、本編のほとんどを割いてタクシードライバーとお婆ちゃんとの関係描写をしてきた積み重ねにコミットしてきた観衆全員が暗転と同時に「死んだんだ・・・」と目を潤ませる屈指の名シーンだったと思う - 怪物
感想をメモってないので割愛。
是枝監督作品のノリで観ると意外ともっと邦画邦画している。 - 映画プリキュアオールスターズF
プリキュアの映画観てボロボロ泣くとは思ってなかった…。
自分が映画で泣くのは画面の登場人物が泣いてるときというのが経験的に理解ってて、なので映画で泣くのはほとんど反射に近い生理現象と理解していて、
でも今回は歴代プリキュアの本編回想や戦闘にどんどん参加してくるシーンでぼろぼろ泣いちゃったのでマジで何か心の柔らかい箇所に触れたんだと思う。
ここ数年のプリキュアはあんまり追えてなくて、ひろがるスカイとデリシャスパーティは少し追ってる程度だったけど全然関係なく良かった。
プリキュアASは歴代プリキュアが集結しないと倒せない敵じゃないといけないので相応に敵が強くないといけないんだけど、まさか冒頭で敗北から始まると思わなくてそこでまず画面に惹き込まれる。そして最終的に倒すわけじゃないのも近年のプリキュアの哲学が一貫していてよかった。
- PERFECT DAYS
どえ~120分役所広司観るの最高~。
マジで序盤からじっくり時間をかけて日々のルーチンを描写することで観衆をその日常に溶け込ませるので、例えば朝起きて作業着を着なかった日に「休みなんだな」とニヤリとするし、同僚が車を貸してくれと頼んできたときに「変なこと起きないでくれ」と本気で思う。
そうやって自身も平山(役所広司)になって変化を厭う防御姿勢をとっていると「変わらないことなんて無い」と平山は含蓄を持って語る。それまでの姪や妹とのやり取りでいろんな変化を経た結果の今の生活なことも察せられて、序盤で見ていた観衆からすると理想的とも言える今の生活も人生のスパンで見ると刹那的で、そんなことをEDクレジットで考えながら「木漏れ日」の解説で劇場が明るくなり、まだ劇場で座っていたいと感じるそんな映画体験だった。
新作嬉しかった5選
嬉しかったの定義は「人に勧めるときには挙げないけど個人的にかなり盛り上がった」「全体としてはいまいちだけど部分的に光る箇所があった」など。
感想はネタバレを含みます。
- 波紋
夫の失踪も宗教への依存も息子の彼女も全部振りになって、最後に雨の中フラメンコを踊るシーンがとにかくやりたかったと言わんばかりのかっこよさだったな。
あとストレートに障害者を差別する主人公に対して爆笑するパート先のおばさんがすげえ良かった - マルセル 靴をはいた小さな貝
この手のストップモーションアニメってここ数年でちょいちょい見かけるよな~と思ったら実写も入れてモキュメンタリーの要素も入ってて少し唸った。マルセルがバズるみたいな、匿名の大勢を物語のエンジンにするのはまだちょっと嫌だな。でも最終的な視聴後感も良かった。 - Pearl パール
演出が良かったと思うな。
パールが殺し癖があるのは序盤から結構明示されてたのに終盤にブロンドの友達に告解するシーンで既に知ってる情報を長尺1カットで言うのだるかったな。でもそれが振りになって絶対このあと殺すじゃん…と思ってたらブロンドの子が家を出て5秒で追ってきて笑っちゃった。母親と揉めるときも母親の服に火が回った瞬間に鍋の熱湯をかけるスピード感で笑顔になったし、そういう暴力シーンやゴアシーンに風速があって良かった。
で、最後に夫が帰ってきてパールと顔を合わせてED、となったときにEDクレジットのバックの映像でずっとパールの笑顔が映すんですよ。
最初は歯を剥き出した笑顔だったのがどんどん怒りを帯びてきて、更にそこに徐々に悲しみを加わってめちゃくちゃに気迫のある表情を体感2分くらいずっと映し続けるの。最初はつられて笑顔になってたけど段々こちらも目が離せなくて、表情でパールの心情を全部伝えてるしこの映画も総括できてる。
ここだけで100点つけちゃえるかっこよさだったな。 - シアター・キャンプ
じわじわ良かった。
初めからドキュメンタリー風の演出で物語が進むんだけど、字幕で名前と役職を紹介するだけなのであんまり覚えられない。母親の主催するシアターキャンプを息子のお調子者ブイロガーが受け持つことになって…というプロットから大体想像通りに物語は進むんだけど、ちょこちょこ入るミュージカルがめちゃくちゃ気持ちいい。演技担当と音楽担当の2人が良くて序盤で歌い出すところで結構映画全体の期待値を上げてくれたし、キャンプに参加してる学生たちもみんな歌が上手くてすごい。
トラブルはいろいろ起こるけど最後の劇は上手くまとめて良かったねー!でオチるかと思ったら、最後に字幕で出演者たちのその後の人生が語られてそれが大体凋落してて笑っちゃった。
やや早めのスピード感だけど90分でバチッとキメて、学生劇の話なのに学生に主体を置かないのもあってかなり見やすいし見心地の良い映画だと思う。 - 劇場版 ポールプリンセス!!
これは劇場で観て良かった。とりわけポールダンスの部分は画面に集中してたことでめちゃくちゃ見応えがあった。
めちゃくちゃアイドルアニメの作法でお話が進むので少し斜に構える姿勢になってたんだけど、ポールダンスが始まるといわゆるアイドルライブとは見方が全然違うことに気づく。
まず座標の取り方が違って、アイドルライブがxy平面座標だとするとポールダンスはρ-θ-zの円筒座標系なんですよね。中心のポールがz軸になって、その軸を中心にどの高さでどんな回り方をするかで何を表現したいかが変わってくる。そこに使う音楽も個々人のオリジナルソングなので舞台の物語が1本のポールを軸に展開していくのが今までに無い視聴感だった。
キャラとしても特にライバルチームの王者として君臨する3人は舞台での芝居にも迫力があってめちゃくちゃ魅力的に映る。
Vの人の同時視聴
同時視聴の性質として画面の変化に反応する必要があって、その結果ニコニコ動画のコメントみたいなノリのリアクションになるときが少し苦手だなと思う。
何か意味不明なカットがあったときに「シュールすぎwww」と笑ったあとに実は意味があると判ると、さっきの嘲笑に対して責任を求める気持ちがちょっとある。
だからインターネットで実況する行為が年々不得手になってるんだなと思う。
- ハリー・ポッターと賢者の石 / 秘密の部屋
おい名取!同時視聴が上手い
- インターステラー
22時から初メン限です😤
— 月ノ美兎🐰 (@MitoTsukino) 2023年2月18日
はじめてのアレなので不備があったらすみません
【同時視聴】インターステラー【映画を観よう!】 https://t.co/F2EadNcZrM pic.twitter.com/ibjM6cqm8N - ゴーストバスターズ
22時からメン限です😤
— 月ノ美兎🐰 (@MitoTsukino) 2023年3月26日
なんか新しいやつもあるらしいけどいっちゃん最初っぽいやつを観ます
【同時視聴】ゴーストバスターズ【映画を観よう!】 https://t.co/ogkN3JmSrD pic.twitter.com/mThehSqmrb -
21時からぁ!!!メンゲン!
— 月ノ美兎🐰 (@MitoTsukino) 2023年8月27日
【同時視聴】ラ・ラ・ランド【映画を観よう!】 https://t.co/TiOvwnLjDL
- オール・ユー・ニード・イズ・キル
【メン限】映画同時視聴:オールユーニードイズキル【にじさんじ/椎名唯華】 https://t.co/Ja1suVwyhh @YouTubeより
— 椎名唯華👻 (@yuika_siina) 2023年5月7日
- きさらぎ駅
去年だかに上映映画を調べてる中で視聴候補から落とした作品が話題になると悔しい。でもこの手のは選ぶのに勇気がいる。 - 心霊玉手匣
この手のホラー映画ってサメ映画みたいなもんで、1個のジャンルとして囲ってその中で巧拙をネタにしあって身内で閉じてて、楽しむには一回その輪の中に入るぞ!という気構えが必要になる。
- 戦慄怪奇ファイル コワすぎ!
劇場版以外は視聴本数にカウントするか迷ったけどまあ記録だしいっか。
これだけ続いてるシリーズを最初から追うと楽しみ方というか波長が合ってくる感覚があって、新作を劇場に観に行ったときには本当に楽しめたので良い映画経験だった。
- パイプライン
映画の内容より盗油が韓国で実際に社会問題化してるって事前情報のほうが衝撃的だったな。
- キャッシュトラック
というか定期的にニコ生で同時視聴してるのってどこの層に向けてるのかわからんな。
むすび
本記事はなんと実際に観た映画について書いてます。
水瀬いのりさん28歳のお誕生日おめでとうございます
最近『ドミノ』って映画を観た。ロバート・ロドリゲス監督の新作。
そのネタバレをするんだけど、
警察官の主人公は過去に娘を誘拐されて、犯人は捕まったものの娘の行方は分からないまま何年も過ごしてる。
ある日、何者かが銀行の金庫を襲う計画があると情報を聞きつけて、主人公が先回りして金庫を調べると娘の写った写真が1枚入っていた。
なぜそんなものを狙うのか分からないまま犯人を追うも不思議な力で逃げられてしまう。
その不思議な力というのは催眠能力で、念じるだけで相手の認知や認識を歪めてしまうという。
金庫に入っていた娘の写真を手に入れようと犯人はあの手この手で主人公を狙い、主人公は逃げる道中に自身もその催眠能力を開花させ…
というとこまでが中盤で、この辺りで「実は冒頭1秒から今まで聴衆が観てたのは催眠にかけられた主人公が見ていた認知や認識が歪められた世界(構築世界)でした」というちゃぶ台返しが来る。
その後も数回「今まで見ていたのは構築世界でした」があるんだけどそれが「フェアじゃねえ~」と思っちゃってさ。
ここで言うフェアは聴衆に対してのフェアというか、ミステリで読者が犯人を当て得るかどうかの部分、描写されていない裏でこんなことしてましたが物語の根幹になり得ないというフィクションとしての公平性のことを言ってます。
聴衆や劇中の敵を騙す作品はいっぱいあるけど騙しの構造として「この部分が実は嘘だったから前提が覆ります」で成り立つと思ってて、
例えば詐欺師が出てくるときにあの場面は実は変装でしたとか、催眠ものだと実はこの時点からはずっと催眠にかけてましたとか。
ドミノも催眠能力なんだけど催眠能力が強力すぎて認識してる世界そのものが丸っと歪められるレベルなので、その能力者が複数人出てくると起点とか関係なく盤面の裏返し合いみたいな展開になってフェアじゃねえ〜と思う。
盤面を裏返すためのリソースって実は有限で、劇中に出てきた人物や会話のどこをひっくり返すかなので100分の映画の終盤なら90分ぶんのリソースがあるけど、
この映画はそういう積み上げ無しに「実は構築世界でした」をいくらでもできちゃうのがフェアじゃねえ~って感じ。
ーー
ASMRを聞くのがそんなに得意じゃなくて。
ASMRを聞く目的って睡眠導入かソフトな性欲を満たすかのどちらかだと思ってるんだけど、ASMR配信は大体長くて2~3時間程度なので3時間経って配信が終わってもまだ寝付けてなかったときの焦燥が怖くて、入眠時に時間経過を意識するとさらにリラックスできずに寝られなくなる。
その日のコンディション次第で平気で3時間一睡もできない日もあるので…。
そういうASMRの有限なとこが一番苦手で、気持ち良くて情報量の無い音が流れ続けるという点ではASMRは結構好きではある。
あとASMR、とりわけVの人がやっているもので言うと、普段ゲーム実況や雑談など自分のやりたいことをやりたいだけやってる人たちが、ASMR配信では奉仕的なのがちょっと居心地悪い気がする。
ーー
11月に田中美海さんの結婚が発表されてぐわーっと思った。
そろそろ声優の結婚をイジったり悪態をついたりする歳でもないなと思いつつも、感覚的には千本木彩花さんが結婚したときくらいぐわーっとなった。
で、ぐわーっの正体が悲しさや不快さじゃなくて居心地の悪さだと気づくのも歳を経たからこそだなと思う。
声優の結婚って実はASMR配信が終わることと一緒で、
気持ち良くて情報量の無い音に身を委ねていたら急に3時間経っても寝付けていない状況を突きつけられる、そんな居心地の悪さがある。
Vの人の卒業などもぐわーっと思うんだけど、
これも因数分解すると居心地の悪さやフェアじゃねえという気持ちかもしれないな。
Vtuberという強力な催眠能力者集団がいて視聴者の認知を歪めてありもしない世界を見せ続けてるんだけど、彼ら彼女らの匙加減でフリも起点も無く「実は構築世界でした」ができてしまう。
それで振りも無く盤面が裏返ってフェアじゃない!と怒る気持ちよりは、やっぱりそういう有限性が苦手だなと思う。
もしかしたら声優もVtuberも催眠だけどフィクションじゃないのかもしれない。
ーー
今年は水瀬さんのライブを配信アーカイブで視聴して「27歳だなあ」と思った。
今日はASMRが終わる前に寝落ちできたらいいな。
水瀬いのりさん28歳のお誕生日おめでとうございます
映画70本観た(2022)
まえがき
映画を「趣味」と言うようになってきた。
ただ趣味を訊かれて読書とか映画とか言うのは相手への拒絶になりかねないので
すかさず「映画館で50本くらい観てて」と添えると発展しやすい。
最近良かった映画を訊かれて『ミナリ』を答えて
「家が燃えると嬉しいんですよ」と言ったら発展せずに終わるなどもある。
観たもの
新旧混合観た順
うち新作54本、旧作16本
アニメは70本中33本
基本的にアニメ映画は全部観たい気持ちはあるけど
YouTubeばっか観てアニメ観れてないので続きモノは諦める傾向があって悲しいね。
新作良かった5選
新作の定義は「リバイバルを除く今年映画館で観た映画」
感想はネタバレを含みます。
今年は映画を観た感想を6割くらいメモしていて偉い。
- さがす
うおー名作…。
片山監督のこと調べたらポン・ジュノ作品の影響を~って話が出てきて脚本や雰囲気作りを思い返してかなり納得できた。
序盤で受け手が考えることがちゃんとミスリードになってて偉くて、
真相を明かすために3ヶ月前、13ヶ月前と時間が戻るんだけど、
各時間軸で印象に残る出来事・風景・服装・カットなどがあるのでかなり整然と頭に入ってくるのが技術!って感じだね。
あと一番印象的なのはやっぱりラストの長尺定点の会話シーンで、
ひらすら卓球のラリーをしながら会話が続き、ラリーの緊張感が会話の緊張とリンクして、全部知ってることがわかった瞬間にピンポン玉が落ちるんですよね。
ピンポン玉が床に落ちるシーンは母親が死んだときも象徴的に描かれていて、ピンポン玉自体が何かの象徴になっていたというのは、
その後ラリーを再開したときにピンポン玉が映ってないことからハッと気付かされるんですよ。 - 女神の継承
めちゃくちゃ満足度の高いホラー映画観た…。
何も情報入れずに観に行ったらまずモキュメンタリーなことに驚いて、
でもしっかりモキュメンタリーの演出が光ってたし
「ドキュメンタリー撮影者が襲われてカメラが地面に転がったまま事態が進む」をしっかり決められちゃったな。
悪魔憑きモノとして『エクソシスト』などを正統進化させた不気味さや絶望感があって、
最近だと『来る』を彷彿させるワクワク感やスピード感もあった。
儀式数日前からの監視カメラが良くて、ちょうど画面に飽きてたところに変化があると嬉しい。
締め方も良くて、妹に女神はもとからいなかったのか、姉に降りてきたのは本物か、本物ならほかの僧たちをなんで殺したのか、
みたいに女神や精霊の解釈をある程度観衆に投げかけるのも良かったと思う。 - 千夜、一夜
いい邦画、こういう湿度と退廃がある。
初めは「拉致」とかの単語が出てくるので政治的なメッセージあるのかと身構えたけど、
実はこの「拉致」の部分は不条理に人が消えるという結果をもたらす可能性のひとつでしかなくて、
終始主人公の意地や寂しさやエゴや狂い方を周りの反応を通して描くということに一貫してて本当に良かった。
蒸発した夫を30年待っている主人公に対して、同年代の周りの人がやいやい言うのは想像し得るけど、
同様に夫が蒸発して2年待った若い奥さんを対比として持ってくるのが上手くて、
そこでさらに若い夫が見つかることで主人公がエゴで行動してそれを奥さんが指摘して…のドラマに見応えがある。
主人公は自分がエゴで行動していること、狂っていることに自覚的なのにどこかその自分を俯瞰していて、
それが30年も待っていた狂いに説得力を持たせるんですよね。
さらにその狂いが明らかになるのが終盤の虚空との会話シーンで、
2年蒸発した男が自分のしたこと愚かさに気づくことが異常さの説明になっててこんな観衆の感情グラグラ揺さぶるヤバシーンあるんだ。
そして最後に主人公は「このままでいい」と言いながら浜辺を駆けるんですよね。かっこいいな。
あと全編通して役者の芝居が上手 - THE FIRST SLAM DUNK
スラムダンク知識は実家に置いてた原作を2周くらい読んだ程度で、
それも10年以上前だから適度に忘れてた状態で観に行って、まさかスポ根で泣くと思わなかったな。
宮城リョータを主人公に据えるのにまずびっくりしたけど山王戦の攻防と回想を織り交ぜることでやりたいことが伝わってくる。
というか3Dのグラフィックスがちゃんと良いのと、まるで実写のバスケのようなスピード感で展開するのに
誰が何をやってどう思ってるのかがテンポを崩さずに伝わるのがかなりテクニカルだった。
試合のカット割りも回想の挿入タイミングもきちんとしてて、EDクレジットで原作・監督・脚本 井上雄彦の文字が出てくると拍手しちゃうね。
仲村宗悟演じる宮城リョータも良かったけど木村昴の桜木花道がかなり良くて、
一番場をかき乱す桜木なので一番芝居に目が行くんだけど2022年にスラムダンクをリメイクするなら確かにこの芝居だなという納得さえあった。
- RRR
5選にこれ入れるのはちょっと逆張り精神が邪魔をするんだけど
これを入れないほうが明らかにダサいなと判断するくらい凄い映画だったな。
インド映画は今まで食わず嫌いで、
というのは3時間近くあるのと、皆でダンスするノリだけがフィーチャーされた感想しか観測できてなかったのがある。
でも人から勧められちゃって、勧められたので↑の理由で断るのダサいなという感覚もあるので観に行ったらすげー良かった。
誤魔化しの無い王道のストーリーだし都合のいい展開もあるんだけど
ビームとラーマの大義と使命と友情を前にしたら全部が些末なことで、
それらを壮大な音楽と豪快な演出とインドのスケール感で描かれれば参りましたって言うしかないんですよ。
新作嬉しかった5選
嬉しかったの定義は「人に勧めるときには挙げないけど個人的にかなり盛り上がった」「全体としてはいまいちだけど部分的に光る箇所があった」など。
感想はネタバレを含みます。
- アネット
なんかすごい映画だったな…。
公式サイトに「ダークファンタジー・ロック・オペラ」って書いてあって何?と思って見に行って、
ダークファンタジーかどうかはわからんがミュージカル映画としてエポックなのはわかる…。
序盤の主人公の舞台の様子が楽しくてグッと掴まれたあとに
どんどん関係も展開も息苦しくなって、そういう意味で最後に人を殺すことで「行くところまで行った」と思うので積み重ねが上手な気がする。
主人公とその妻の子供である「アネット」は意図的に人形として映っていて、
劇中ではずっと人間として扱われているアネットちゃんは観衆から見ると明らかに人形なんですよ。
それは明示的にアネット自身は感情を出さず機械的/役割的な存在として劇中にいることの表現になってて、
少しそれは過剰な説明な気がするものの挑戦的な画面が続くので結果的に引き込まれちゃった。 - ニューオーダー
視聴後感ヤバ!
物語が進むごとにどんどん救われない感じになって最後に善人が絞首刑になって終わる。ダンサー・イン・ザ・ダークかよ。
デモと対比するように序盤の結婚式での豪華で豊かな感じが引き立ってて、
悪いほう悪いほうに展開が進むから、首を吊られたあとに暗転してスタッフロールになったらフーっと大きなため息が出て、
それが劇場のあちこちでこだましていたのがこの映画の象徴だったな - ボイリング・ポイント/沸騰
5枠に限定してるからこっちに入れたけど全然良かった5選のほうでもいいな。
まず舞台が店内で完結してるのが良い。演劇的だ。
カメラも1台を長回しして店内をグルグル回って、フォーカスする対象がホールの店員やバーテンやシェフやオーナーとくるくる変わっていって、人物描写が成立してるから映画が上手だね。
タイトルからじわじわ店員らのストレスや鬱憤が溜まっていって最後に爆発する感じかなと思ったら、始まった時点でもう85℃くらいまで温まってて胃がキリキリしちゃうね。
評論家や昔の恩師との絡みも全部最後に沸騰させるための種火でしかないので、救急車が来たのが沸点かな~と見てたらストレスで酒とクスリをガンガン摂取して死ぬのは力技!って笑っちゃった。 - 夜を越える旅
邦画観てて嬉しい瞬間来た…。
ほんとになんとなく観たい映画無いかなと上映スケジュール眺めてるときにふとタイトルが目に入って、
あらすじ読んでも「夢を諦めきれない社会人と大学時代の人間関係!」くらいしか情報無くて、
普段なら特に食指が動かないはずなのになんとなく惹かれて観に行くとまさかの隠れホラーで、
しかもホラーの演出がきちんと怖くてかなり良かった。
ポスターやメインビジュアルはホラーに見えないこともないけどおそらく意図的にホラーであることを隠してて、
そういうサプライズを正面から食らってかなり気持ちよくなっちゃった。
序盤の人間関係のかったるい感じもホラー展開以降はさっぱりしてたのも好印象で、
若くてチャラい霊能力者カップルも良いしプロの霊能力者があっさり死ぬのもすげえ良い
ヘタな邦ホラーなら車の中で夜を越えたあと霊退治でもうひとくだりあって120分とかだろうなというとこを切り上げて90分にできるのも偉いな。
「死者に取り憑かれること」を物理的な意味で描くことで心理的な意味を示してそれとの向き合い方を掴むことが「夜を越えること」なんですよね。 - ザ・メニュー
面白映画だね~
狂ったシェフが孤島のレストランに招いた金持ちに対して狂ったコース料理を出す映画んだんだけど、
コースの第2品でパン(パンなし)が出てきた時点でかなり楽しめるモードになって、
次は何が出てくるのかなをボーボボワールド的な気持ちでワクワクできた。
落ち目の役者がなぜ自分が殺されるのか尋ねたら「たまの休日に観に行った映画がつまらなかった」でその主演だったから殺されるとのことで、
じゃあ連れの女は?と尋ねると大学が奨学ローンじゃなかったからなの一番笑っちゃった。
結局ほかのスタッフがなんで一緒に心中できるのかとかよく分かんない箇所はいっぱいあるけど、
全体の整合はさておいてもやりたいこと全部やれてる映画だったな
Vの人の同時視聴
同時視聴、純粋な映画視聴体験と比べると不純粋で不徳な行為という引け目も5%くらいある。
でも映画視聴とV視聴の2円が重なるところなのでお得な感じが拭えない。
本当に観たい映画は同時視聴は避けようと思うけど本当に観たい映画なんて無くない?
- 劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』
やっぱ8時からメン限で遊戯王の映画見ないか?ネトフリがdアニメにはなっちゃうんだけど...
— コウ2 (@udukikohh_sub) 2022年2月9日ちょうどマスターデュエルにハマってた時期だったので…。
- 事故物件 恐い間取り
夜見さんいいよな。
- 映画 えんとつ町のプペル
プペル観るならこのタイミングしか無いなと思って観たけど
児童向けとして結構ちゃんとしてたな。
作中の比喩に作者の文脈を乗せなければいける、みたいな結論になってた気がする
- ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
おい名取!同時視聴が上手い
- 映画 それいけ!アンパンマン 勇気の花がひらくとき
アンパンマンの映画初めて観た気がするけど子供が飽きないように1時間で終わるのカッコいいな。
でもちょっと、アンパンマンの映画をテンション高く同時視聴する周央サンゴさんに対する少しの警戒というか体重の傾けられなさがある。
- 整形水
今日18時から!
— でびでび・でびる (@debidebiru_sama) 2022年6月24日
メンバー限定映画同時視聴
金曜でびーしょー
アマゾンプライムにある
整形水をみるぞ!https://t.co/CL7BtLsEGc pic.twitter.com/amOk0d2ta9映画館で観ようと思ったら公開期間終わってて残念だった記憶があったので
そういう理由があると一時的なメンバー登録などをよくやる
- ゲット・アウト
同時視聴ではなくて、『NOPE』面白かったなというときに夕陽リリさんも同じように観た感想を語っていて、
ジョーダン・ピール監督の過去作は見たことあって…といった発言があったので知らないの悔しいなと思って観た。
最後の警察が来るシーンをどうするかって絶対葛藤あっただろうなと思ってググったらちゃんといろんな経緯があった。
- カルト
白石晃士作品もちょっと食わず嫌いなところがあって、
というのはニコニコ動画の人たちがニコニコ動画のノリで盛り上がってることに起因するんだけど、
なのでこういう機会でしか観ないので良かった。
ていうかこんなところで終わるんだ…。
- 映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ
/
— 🗼える🗼にじさんじ所属 (@Elu_World) 2022年10月18日
このあと22時~メンバー限定配信!!
\
厳正なる審査の結果、本日の同時視聴はすみっこぐらし2になりました。頂いたほかのおすすめ作品も次の機会にみんなで見たいと思います。あざざす!
【メン限】映画すみっこぐらし2 同時視聴【にじさんじ/える】 https://t.co/zsbpkYSh5J @YouTubeよりすみっコぐらしの映画は特段興味は無いけど
えるさんの同時視聴は観たいじゃん…。
むすび
今年も観る量や頻度はちょうどよかった。
月に1回くらい、土日に行動する気力がわかずに観たい映画はあるのに適当に自分に言い訳して観に行かない週があり、
このときは映画を観ずとも鬱々と悲しい気持ちになるのでお得だね。
水瀬いのりさん27歳の誕生日おめでとうございます
日記なんだけど、
ゲームやってるんですよゲーム。僕が。
最後に買った据え置きハードって多分Wiiで、それもうまくハマれなくて、
その後10年以上、腰を据えて向き合ったこと無かったかもしれない。
ニコニコ動画のゲーム実況で満足してた向きもある。
十何年越しにあれもやろうこれもやろうと思ったのはVにハマったのがきっかけでさ、
V視聴にハマると爆発的にゲーム実況を観る機会が増えて、
そしたらゲーム実況だけで雰囲気でシナリオを楽しんで未プレイのままなのがダサく感じてきちゃったんだよな。
感覚としてはアニメ倍速視聴やファスト映画的なダサさに近い。
もちろん全部のゲームはやれないけど未プレイを決め込むのはダサい。
これはモラルではなく美学の話です。
それで最近ポケモンの新作をやってさ、すげえ面白いでやんの。
最後にポケモンをやったのはサファイアが最後で、
BWや剣盾を実況でチラチラ見たことはあったけど全然自分でやってこなかった。
だからタイプ相性とか特性とか全然分かんないけど分かんないなりに調べながら楽しめて、
もう一生自分の人生と関わりないだろうなと思ってたものに触れると
ただゲームをやっただけなのに精神的な成長を感じられて気持ちがいい。
余談だけど新作の旅パになんとなくデンリュウを入れてて、
ふと思い返すと金銀の時代に兄が旅パに入れてたデンリュウが、
兄が目をつけたというだけで妙にセンスフルに見えて、
その頃の憧憬やいじらしさをこの歳で引きずってたんだなと気づくのはちょっと嫌だったな。
あと最近で言うとリゼ・ヘルエスタさんのOMORI実況を観てて、
OMORIはいつか自分でやるかもと思ってSteamのWishlistに入れてたので実況に屈するのは悲しいことだね。
でもストーリー主体の文字を読んでいくゲームがとことん苦手で、
スマホゲームのシナリオ部分もなかなか興味持って読めないんだよな。
OMORIは幼少の頃の友達との思い出に引きこもる自分と現実では大人になっている友人たちとの関係値の物語でもあって、
図らずも僕にとってのデンリュウなんですよね。
みとらじ卯月コウゲスト回で「女性のゲーム実況は全然観てなかったけどVtuberが流行ってから水のようにスルスルと入ってきた」と言っててわかる~と思って、
確かに自分が観ていたニコニコ動画のゲーム実況とは視聴時の脳の使い方が違う気がする。
立ち絵の存在かな?目の前に感情をぶつける相手がいるのはデカい気がする。
例えば女性声優が個人YouTubeチャンネルで画面キャプチャだけしてゲーム実況してるのはどっちかな。
結構それでもVと同じ脳の部分で観てる気がする。
そもそもニコニコとYouTube、動画と生放送って違いでも意識が変わる気がするな。
でもニコニコ時代とYouTube時代(V視聴時代)の間には確実に青年期の空隙があって、
そこで培われた美徳や美学が今のSwitchを触る僕かもしれないね。
今年は水瀬さんのツアーがあって、横アリ公演の裏で幕張のにじFesをブラブラしてた。
最後に買った据え置き機を思い出すということかもしれないな。
水瀬いのりさん27歳の誕生日おめでとうございます
月ノ美兎さんのお誕生日に寄せて(2022)
これは感情の整理のためのブログなんだけど、
ブログを書くと物語の整合を優先して感情を捻じ曲げちゃうんですよね。
それが無いようにしたい。
そもそもVの人のファンになったこと無いかもしれない。
前に声優さんのファンだったとき("前"なんだ…)の熱量や焦りを基準に置いちゃうと、
今は全然精神的な余裕があって、精神的な余裕というのは楽しいものを素直に楽しめることなんだとつくづく思う。
以前は精神的な余裕が無くて、そのときの二の舞いにならないようセーブや保険をかけてる、という因果が正しいかもしれない。
保険という点でその人のファンを名乗ることに結構抵抗があるし、
今後もあるかわからない。
好きなVの人を尋ねられたら最初に挙げるくらい月ノ美兎さんのことは見ていて、
ほとんど全部のアーカイブも観てるし配信があるときリアルタイムで観る優先度も高い。
でも他にもよく見てる人、基本的に配信全部見てる人はちょこちょこいるし、
その中でも2018年から見ている思い出補正というか、
ドラマを一緒に見てきているので情が乗りやすいよなという意識でいた。
で、月ノ美兎さんは2022年6月ごろ~9月22日まで個人的なトラブルや心身の不調で配信をお休みするんだけど、
これで自分がすげ~~~~~~ダウン入っちゃって。
いつまで休止するなどの見通しが無かったので、1週間1ヶ月と時が経つに連れて不安が募るんですよね。
まず6月末ごろから月ノ美兎さんが配信再開する夢を見るようになって、
ウキウキで起きてTwitterなどを確認して凹むことが象徴的だった。
なぜか無根拠に楽観的だったときは「月が変わるから配信再開するならこのタイミングだろうな」と何故か月末にウキウキすることもあった。
月初めにも音沙汰無くてまあそうかと凹んでた。
自分にしては珍しくTwitterとYouTubeの通知をONにして*1少しの発信も逃さない体勢を作ったのも7月ごろだった気がする。
普通にほかのVの人の配信は観てたけど、多分1日に1回は休止のことを思い出してナーヴァスになってた。
え~~無意識でこの人にそんな重心置いてたんだ……。
いや~~~でもそれを意識したところで声優追っかけてたときみたいな体重の置き方はしたくないし…。
でもそもそも熱量と焦りがファン感情の基準なのも納得いかないよな~~。
ねえこれは…これは恋ですか(おとめ妖怪ざくろ)
うわ!月ノだけにMOON SIGNAL!!
という感情の推移があったので、今後別に応援のスタンスも行為も変わらないけど
なんとなく自分は月ノ美兎さんのファンなんだなあと思うことにした。
お誕生日前に復帰されたので良かった。
最後に2022年上半期の月ノ美兎さんの良かった配信貼っとこうかな
- 超能力でメシを「木村拓哉」味にしてもらった【体験レポ】
23:00ごろからの「大人になったと思った瞬間」の話がかなり良い
- 好きなコンテンツのwikiを編集するオタク etc. 【あなぐラジオ】
配信じゃなくて収録だけど、かつてのポッドキャストの質感がグッと来る
- ★初心者歓迎★月ノ美兎ちゃんのなりきりチャット★
これは参加者のパーソナリティをある程度理解してないと100%受容し切れない点でかなりハイコンテクストなんだけど、それでも月ノ美兎史上五指に入るんじゃないかと評せるほど傑作の劇場型配信だった。
- 凸待ちで最強のブラクラを作ろう!【音量・閲覧注意】
「ウォーリーをさがさないで」的なブラクラを作ろうという趣旨←わかる
ブラクラ用の叫び声素材を並行して凸待ちで募集←そうなんだ
作成作業中に急に叫んでもらうだけ←マジですごい
お誕生日おめでとうございます。
映画65本観た(2021)
まえがき
2020年は何か大きな力によって新作映画が全然無かった。
2021年はだいぶ増えて、なんなら公開が延びたものと公開を予定してたものが重なって多かったまである。
引き続き平日はずっと家にいる生活なので、週末くらいは外出するかというモチベーションで極力映画館に行く1年だった。
観たもの
新旧混合観た順
うち新作48本、旧作17本
映画館で48回も映画観ることあるんだ。
アニメは65本中36本
半分以上だね。
新作良かった5選
新作の定義は「リバイバルを除く今年映画館で観た映画」
感想はネタバレを含みます。
今年こそは映画を観たその日に感想をメモしとこうと思ったけど4割くらいしか実行できなかったので感想が無いものもある。
- ヤクザと家族 The Family
映画上手すぎワロタだね~。まず1999年の加藤の組に追われるシーンで、チェイスのスピード感と臨場感と間延びの無さでオッこれはと思って、盃を交わして組に入るシーンのOPやクレジットの出し方で完全に掴まれちゃった。
お話しのテンポがいいので由香を連れ出して海に行くシーンの時間の進み方が対照的で印象に残るし雲と朝焼けがアニメかよってくらい演出に噛み合っててびっくりしちゃうね。
終盤のTwitterで拡散されちゃうところだけちょっと飲み込みにくくて、物語を展開させるためだけの目的ない悪意が急に出てくるの何?ってなっちゃった。他人の同居人が元反社なことに興味なくない?
それを差し引いても総合点で勝ちだったけど - JUNK HEAD
ストップモーションアニメってのは確かに凄くて、EDロールでの撮影の様子は本編を観た上で「こんな撮り方でこんな長尺を!?」という驚きがあるんだけど、そこは全然抜きにしてSFとしての完成度が素晴らしいんですよ。
世界観の説明は冒頭にサラッとされて、そこを100%理解してなくても主人公の目的が常に明らかでわかりやすい。
それに出てくるキャラが全部魅力的で愛せて、敵キャラは全部グロテスクで恐怖できる。
カメラワークも印象的で、というのは実物のモデルがあって実物のカメラで撮るのでセルアニメ的じゃない、ある意味で嘘のない画面なんだけど、急に洋アクション映画や邦アニメ的な演出も入って飽きさせない。
区切りは良かったけど完結はしてないので次編も早く観たいな。 - サイコ・ゴアマン
1から10まで楽しくて文句なく年間ベスト級だった…。
予告を軽く見て「へえSF特撮って感じなのかな。気持ち悪いフォルムの怪獣?がいっぱい出てきて楽しそうだな」の認識で観に行って、こんな劇場で声出して笑うとは思わなかった。
凶悪なサイコ・ゴアマンが日常に馴染んでいくシュールさをギャグとして押してくるのかなと思ってたら、他の人間の命の軽さや父親の言動でもめちゃくちゃ笑っちゃった。
でも一番好きなのはクレイジーボールを振って振って終盤で出してくるやつかな。分かってても笑っちゃうね。 - ドライブ・マイ・カー
感想をメモってないので割愛 - マリグナント 狂暴な悪夢
ええーめちゃくちゃ面白い…。
監督が『死霊館』『ソウ』シリーズの人って触れ込みで観に行ったけど本当に正統進化だった。
ホラー映画(とりわけ洋ホラー)って序盤~中盤が一番面白くて、何がいて、何が目的で、何をしてきて、が全部分からない中でどんな演出を凝らして観衆を怖がらせるかがホラーの肝と思ってるので、中盤以降、正体がわかって対処や退治をするのは消化試合になりがちなんですよね。
でもそれら大筋を踏襲した上で、序盤のホラー展開、中盤のミステリー展開、終盤のアクション展開と全部に新鮮味があって噛み合ってたんだよな。
幽霊/悪魔系の洋ホラーは『キャビン』をやった辺りでもうやり切ったでしょという感もあって、実際最近の流行りは人間が怖い系のサイコホラーだなという印象だったけど、ここにきて洋ホラーが一皮剥けたようなカッコよさだったんだよな。
新作嬉しかった5選
嬉しかったの定義は「人に勧めるときには挙げないけど個人的にかなり盛り上がった」「全体としてはいまいちだけど部分的に光る箇所があった」など。
感想はネタバレを含みます。
- ミナリ
きちんとネタバレなんだけど、最後に家が燃えます。
アメリカに移住した韓国人一家が心機一転農業で生計を立てていくぞ!という話なんだけど、本当に丁寧に丁寧に家が燃えるまでの振りを積み重ねていくんですよ。半分痴呆の入ったお婆ちゃんが普通にケアレスミスで着火するのゲラゲラ笑っちゃった。
家が燃えることが分かってても嬉しい映画なのでもう1回観たいまである。 - くれなずめ
高校の同級生の結婚式を機に久々に集まった6人のうち1人は5年前にもう死んでて、なのに違和感なくそこにいて…という導入で、ああなるほどあの花ねと思って観てた。
各人と死者との思い出を挿入していく構成は飽きなくて良かった。
ずっとその場に生きているような温度感で話は進むけど想い人に12年越しに告白するあたりから成仏に言及し始めて、ああ思い残しを果たして成仏の流れねと思ってたら畑に引き出物を埋めるところでうおおおお!!ってなった。
チープな心臓出てきたあたりでゲラゲラ笑っちゃったし全員死んだときここで終わったら最高だなと思った。
でも流石にそんなことはなくて、5人が主人公の死を引きずっているのに、大人の所作として「引きずることから逃げてる」ことが結局5人の前に死者が出てきたことと理解しました。
でもあの畑のくだりは本当に良かったので本当に観たほうがいい。 - ライトハウス
ヤバ映画だったね…。
情報何も入れずに行ったらまずアス比と白黒に面食らって、景色も登場人物も変わらず波と汽笛の音が響き続けるので序盤は単調な印象を受けるんだけど、この単調さが効いて海鳥の死体や人魚の幻視がエッセンスになるんですよね。
終盤はもう何が嘘で何が妄想として描写されて誰が狂ってるのかもグチャグチャになり、スピード感で脳のキャパシティが怪しいところで最後に灯台の中で主人公が見たものは…という締めの気持ちよさがあった。
EDクレジットをただ放心して眺めてたら劇場が明るくなるってなかなか無い経験ですよ。 - サマーフィルムにのって
ラストシーンがめちゃくちゃに良かったな…。
高校生が映画撮る青春モノかな?という認識で観に行ったらそんな安めのSF入るんだ…って笑っちゃった。
時代劇とラブコメの対立構造を中盤まで目立たせて、終盤にかけての和解と溶融と構造分解なんですよね。
時代劇で最後に相手を斬るかどうかを告白と見たとき、常に大好きと言い続けてた対立側は常に答えであり続けてたんですよね。
それがヒロインと未来に帰る男との関係とも同構造であることを明示したうえで、体育館で斬り合うのがこの映画を通した回答なんですよね。
ちょっとセリフで説明しすぎてるのが視聴者に対する不信頼だなと思ったけど。 - ベイビーわるきゅーれ
感想をメモってないので割愛。
女の子2人のバディ殺し屋って設定で見たいものが90分で全部見れる。
Vの人ドリブン
観たものラインナップの中になんで今?という旧作があって、その言い訳にVの人が観てたからって言いたいから書いときます。
- ガメラ 大怪獣空中決戦
ガメラ初めて観た…。
特撮全然わからんが演出や音作りがめちゃくちゃ凝ってるのがわかる。平成三部作の1本目らしいので以降に明らかになる設定とかあるらしい。
一番テンション上がったのはダイエー時代の福岡ドームがめちゃめちゃになるところかな…。 - 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール ディアルガVSパルキアVSダークライ
【メンバー限定】映画同時視聴:ポケモンVSダークライ【にじさんじ/椎名唯華】 https://t.co/TUhJIjStrm @YouTubeより
— 椎名唯華👻 (@yuika_siina) 2021年1月29日ポケモン映画、ジラーチまでで止まってるんですよね。
タイトルから普通に三つ巴の戦いかと思ってたんだけど、神同士の戦いからダークライが街と人を守る話なんですね。観ないとわからないシリーズだ。
人やキャラを動かすのに尺を使って特に印象的なシーンは無かったかもしれない。
映画鑑賞記録を明け透けに書いた結果メンバーに入ってるVの人がバレるのイヤだな。 - 音楽
150点の演出と無駄のない脚本と構成でめちゃくちゃ視聴後感がいい…。
終始劇伴が流れないのが主人公の寡黙さとマッチして次に何を言うのか期待させる感じも上手くて、ロトスコープがキャラクターの引き立てに貢献してるとことかこれ全要素肯定できちゃうくらいよかったな。 - ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序、破、Q
感想をメモってないので割愛
ていうか観てるVがバレるのイヤだな。 - 累 -かさね-
0時から~一日おくれてしもてすまんのーー
— 椎名唯華👻 (@yuika_siina) 2021年3月9日
【メンバー限定】同時視聴:累【にじさんじ/椎名唯華】 https://t.co/Jfx1Pruo3D @YouTubeより感想をメモってないので割愛
かなり椎名唯華さんに体重を乗せている。 - 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
バックボーンをおさらいしつつ逆シャアを観ることでハサウェイに対する解像度が全然違ったのが良い映画体験だったな。
むすび
年間50~60本、新作50本程度、旧作10本程度ってバランスは結構理想だな。
Vの人の配信は1週間で80時間(YouTubeアプリ統計)観てて、
アニメはもう全部は追いきれないものの週に20~30本は観てて、
その中で映画に割く時間としてはこれ以上増やす意思もなく減らしたいという意思もない。
でもVの人の配信視聴時間を映画視聴時間に充てた瞬間2週間で80本観れるんだよな。
水瀬いのりさん26歳の誕生日おめでとうございます
柳父章『翻訳語成立事情』(岩波新書、1982年)を読んでるんだけど、
「恋愛」って言葉が使われ始めたのは幕末~明治初期あたりで、
「love」や「amour」の訳語として各種辞書に登場し、巌本善治らの批評によって意味の輪郭が形成されていく。
既に日本語にあった「恋」や「愛」とは区別されて西欧的な恋愛観、
「色」や「情」とは区別されて高尚な雰囲気の行為として「恋愛」が広まる。
著者の考察として語られているのが西欧の「恋愛」と日本の「恋」がもともと異なるという点で、
西欧の恋物語を見たとき、初めに美しい女性がいて、それは遠方から現れる。
男は直ちにそれに近づこうとせず、かえって遠ざかる。
結末には女性のもとに戻るが、その過程の肉体的な別離と魂のつながり=深く魂より愛することを以て「恋愛」が成立する。
一方で日本古来の恋物語は二人が一旦結ばれて、その後の悲しみや喜びが描かれていて、
その点で「恋愛」が「恋」や「愛」と区別されるのが著者の指摘なんですよね。
去年珍しくVの人についていろいろ書いた→Vの人 いろいろ
そこで物理距離にだけ着目して以下のように書いたんだけど、
タレントと視聴者との物理距離は2つあって、
[タレント]──【距離1】──[カメラ/ディスプレイ]──【距離2】──[視聴者]カメラとディスプレイの間にも距離はあるのかな。
Vの文脈でここを物理距離としてしまうことにちょっと違和感あるんだよな。
じゃあカメラとディスプレイとの距離ってなんだろうな。
カメラより左側はV空間で、ディスプレイより右側が現実空間である以上、
カメラとディスプレイの間には物理じゃないけど絶対的な隔たりがある気がする。
この距離を測るとき試しに「干渉度」のようなものを定義してみるのはどうかな。
互いに離れるほど声が聞こえずらく挙動が見えづらくなって、
近づくほど動きや表情もコミュニケーションに影響してくることを二者間における「干渉」として、
干渉の度合いで距離みたいなものが定義できるんじゃないかな。
例えばVの人の配信はチャット欄でしかVの人に干渉できないので視聴者から見たカメラ-ディスプレイ間距離はすごく遠くて、
Vの人は自分の声や動きや表情で視聴者に干渉できるのでこの距離は随分近い。
AB=BAが成り立たない非対称な空間ですね。
そういう非対称でタレントが定義されてるかもしれない。
Vの人のライブではこの非対称が崩れるんですよね。
Vの人の声や仕草が客に干渉するのはもちろん、
客の笑い声や拍手やサイリウムもVの人に影響していて、
その点でついにカメラ-ディスプレイ間の距離は対称、
あるいはV空間と現実空間がついに面で接してしまい、【距離2】だけがその場に残るんですよ。
【距離1】もカメラ-ディスプレイ間の距離もゼロになって、
今まで隔てていたV空間と現実空間がライブ会場で結ばれるというのがあたかも恋物語なのだ。
【「#月ノ美兎は箱の中」現在生放送中!】
— にじさんじ公式🌈🕒 (@nijisanji_app) 2021年11月16日
月ノ美兎1stワンマンライブ 「月ノ美兎は箱の中」ニコニコ生放送にて放送中!
是非ハッシュタグ「#月ノ美兎は箱の中」をつけて、感想を投稿してください!
視聴ページ▽https://t.co/KmW7ZTE8p4
ネットチケット▽https://t.co/C7vIw3GViF pic.twitter.com/IiU966B7IE
11月に現地に行った月ノ美兎さんのソロライブも非常に良かった
一方で、かえって距離が意識させられたのがこの間のホロライブ3期生ライブで、
配信で観ていたらなんとホロライブ3期生の皆さんがいるV空間はライブ会場には無くて、
V空間と現実空間はあるいは点で接していても、確実に【距離1】も【距離2】もある。
15:58あたりなどで映るステージと会場の関係が結構衝撃的だった。
かえって距離が強調される点でかなりこれは柳父章の言う西欧的恋物語なんじゃないか。
初めに美しい女性がいて男がそれと距離をとるのが、そのままV空間と現実空間の距離になり、
カメラ-ディスプレイ間距離を「魂のつながり」と言い換えることでこのライブが「恋愛」になるんですよ。
同時に月ノ美兎さんのソロライブもホロライブ3期生ライブも、
V空間を現実空間に翻訳したときの著者ごとの訳出の差異なんですよね。
今年は10月に水瀬いのりさんのライブの横浜公演を観に行って、
ステージから遠い1階席から見ていたらトロッコに乗って近づいてきてウオッとなった。
まあでもこれは恋だろうな。
水瀬いのりさん26歳の誕生日おめでとうございます。